うつの世界にさよなら
音声 推薦者 私も聞きました 活動へのご支援 講演・取材依頼


衛藤信之
心理カウンセラー
衛藤信之

 うつの時にはカウンセリングルームに通うのも苦しいもの。 そして、いちばん苦しい時に必要なのは脱出ルートを知っているガイド(案内人)です。

 そう言う意味では、うつの時には、どんな感じ方、どんな思考になるのかを知っている人は、何よりも最高のガイドになれるでしょう。

 このたび、寺田真理子さんが外に出られないうつの人のために、自分の経験を包み隠さず赤裸々に語っている姿勢に僕は感動すら覚えました。

 彼女のうつからの脱出のステップは、専門家の目で見ても、「そうなんだよ」と思う事例がふんだんにあり、今それぞれに苦しみの状態にある人には、  思い当たる共通点が多くあるのではないでしょうか。

 もちろん、うつの渦中にいる人には「そう、わかっていても」と、すぐに素直に実践できる元気エネルギーがないかもしれません。 でも、完全に渦中から抜けた時には、それがうつを脱出するためのガイドになっていたことに気づくことでしょう。

いま、彼女は認知症の研究もされています。

身体の衰えからくる憂うつな気分に対しても、考え方を変えると、老いることにも楽しみがあると明るく語っています。 この寺田さんの音声のガイドは、いろんな健康な人にも、たくさんの示唆を与えうることを僕は信じています。
 

五十嵐良雄
精神科医
五十嵐良雄

 気分が憂鬱になると、自分を客観的に視ることが難しいものです。自分ひとりが大変な思いをしていて、 誰も助けてくれないかのように思ってしまいがちです。これがまさにうつの人が陥りがちな思考パターンなのですが、 寺田さんの話を聞いて自分の体験と照らし合わせていくことで「自分もこういう考え方をしているかもしれない」 と気づくことができます。うつになった直接の原因だけでなく、長い間に形成されてきた自分の考え方のくせと向き合う機会を、 うつは与えてくれます。子ども時代にまで遡った寺田さんの話に沿いながら自己を内省し、客観視できるようになることで、 回復に向けての一歩を踏み出せるでしょう。そして自分ひとりがつらいのではなく、同じように苦しんだ人がいて、 こうして自分に手を差し伸べてくれる人もいるのだと知ることが、病気と闘う励みになることでしょう。

 どれだけ読書ができるかを私は病状の回復の目安にしています。文字を読めないような状態で絵の多い本や写真集を眺めるところから、 病状の回復につれ、徐々に文字数も多く高度な内容の本が読めるようになっていきます。読書によってうつから回復した寺田さんは、 回復過程に沿って、どんな本を読み、何を学んで回復していったのかを教えてくれています。その体系化された回復過程を知ることで、 うつの人は自分の状態がいまどの過程にいるのかを把握し、回復への希望を持つと共に、回復への道標とすることができるでしょう。